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健康福祉政策情報No.85
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トピックス
日本の社会保障政策を公衆衛生倫理の視点で検証する
松田 正己(東京家政学院大学公衆衛生学教授)
1.健康福祉に関する理念と日本の健康福祉政策,国際的な政策と倫理原則
公衆衛生の領域では,19世紀は都市化による環境汚染や貧困と疾病が課題であった.20世紀後半は,高度成長期における工業化による公害,性行動に関連したHIVのまん延,食の工業化による狂牛病,エネルギー問題や災害と関連した原子力発電所の事故による放射線障害等,新たに大きな出来事があった.これらは,それぞれが社会に新たな倫理的課題を突きつけてきた.これらの中で,最近の公衆衛生倫理,とりわけ人権や脆弱性に関連した原則に大きな影響を与えている分野としては,エイズのまん延とその対策が重要である.
国際的な動向に比べ,健康福祉政策の領域での日本の政策は,倫理的側面が弱い.2000年以降,特にこの10年間の健康福祉政策の立法過程をみると,原則からズレた「自立」? という言葉や,「支援」? 「我が事……」? 等が急激に増加していることの意味を意識化しておきたい.
注1 ここで言う倫理的とは,「……をしてはいけない」という否定的なもののみならず,「……をする」という肯定的表現が重要となる.健康福祉領域では,活動のコアをなす基本的な原則等が含まれる.
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