健康福祉政策情報No.101

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夕張市における地域包括ケアの課題

前沢　政次（日本健康福祉政策学会理事／夕張市立診療所所長）

　
はじめに
　地域包括ケアにおける包括性に力点をおくと，住民不在になりやすい．本来双方向性であるはずのケアが，一方的なサービスの押しつけになる．３年近く前，第22回の学会開催の翌年，京極町から夕張市に仕事の拠点を移しました．急激な人口減の自治体で実践し，考察した地域包括ケアの課題について報告します．

最近の夕張市
　2007年に財政破綻した夕張市の人口は，2021年12月末現在7,055．世帯数は4,188．石炭産業最盛期の1954年の人口は116,000余，2007年は12,198でした．昨年末の高齢化率は約53％です．春夏は緑に恵まれた谷あいの街ですが，冬は豪雪，気温はマイナス15℃前後まで下がる日が多い．診療所のある街の標高は337ｍ．商店街はほぼシャッターが降り，開いている店はまばらです．
　市の借金は2027年３月まで返済を続けます．あと約５年，約127億円残っています．税金は高く，行政サービスは最低などと揶揄されています．

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