市民による運動

やどかりの里は1970(昭和45)年に活動を開始し,1973(昭和48)年5 月に法人設立が認可されました.
1987 年(昭和62)年に精神保健法が制定されるまでの間,精神障害がある人は,法的に障害者と見なされず,福祉的な活動は公的にも認知されませんでした.そこ で私たちは,活動の公共性と公益性を再確認し,誰もが運動の担い手となれること,そして,主体化された市民が組織を運営していく仕組みとして,社団法人を 選択し,活動を開始しました.

公的補助金のない約20 年間,やどかりの里の活動を支え共に担ってきたのがこの社団法人の会員です.
財政面はもとより,活動でも会員が支えてきました.会員はメンバー(やどかりの里を利用する当事者をメンバーと呼ぶ),職員はもちろん,メンバーの家族,医療保健福祉の専門家,地域の協力者,一般市民等,幅広く構成されています.

広がりのある運動体

やどかりの里は,その時その時の状況やメンバーの希望,社会の動き,流れによって変化してきました.
やどかりの里を利用しながら地域の中で生活しているメンバーの要請に応じて,地域の中で必要な資源を模索しながら,様々な活動を生み出してきたのです.

現在は,約300人を超える障害のある人がやどかりの里を利用し,地域生活を送っています.
地域に根ざした活動をさいたま市の障害者計画にも参画し,さいたま市から委託された障害者支援の仕事を積極的に行っています.また,全国各地からの見学者も多く,保健・福祉・医療の大学等との連携も行っています.

2011年12月には,公益社団法人として認可されました.

沿革

1970(昭和45)年 大宮市七里(現さいたま市見沼区風渡野)に精神病院退院者の中間宿舎としての活動を開始,その後中間宿舎は廃止.仲間づくりを大切にし,社会への啓発活動を進める.(以降,1989年までは公的補助金がない中で事業を行う)
1972(昭和47)年 大宮市(現さいたま市見沼区)中川に移転,機関紙「やどかり」創刊
1973(昭和48)年 社団法人の認可,初代理事長に岩本正次就任
1974(昭和49)年 調査研究部門(現「やどかり研究所」)設置
1977(昭和52)年 やどかり出版事業開始,家族の会「浜砂会」が発足
1979(昭和54)年 雑誌「精神障害と社会復帰」(現「響き合う街で」)創刊
1981(昭和56)年 理事長に谷中輝雄就任
1982(昭和57)年 埼玉県より初めての助成金(年間50万円)がつく
1988(昭和63)年 「保健文化賞」を受賞
1990(平成 2 )年 精神障害者社会復帰施設を開設,以降 さいたま市内に働く場,グループホーム,生活支援センター等を開設
1992(平成 4 )年 「キワニス社会公益賞」受賞 グループホームを設置,作業所「ドリームカンパニー」,「あゆみ舎」を開設
1993(平成5 )年 作業所「アトリエなす花」,「食事サービスセンターまごころ」を開設
1995(平成7 )年 作業所「喫茶ルポーズ」を開設
1997(平成 9)年 福祉工場「やどかり情報館」,通所授産施設に「食事サービスセンターエンジュ」開設
1998(平成10)年 「浦和生活支援センター」を開設
1999(平成11)年 世界心理社会的リハビリテーション学会の世界の先進的リハビリテーション活動「ベスト・プラクティス」に選定
「大宮東部生活支援センター」,「大宮中部生活支援センター」を開設
2001(平成13)年 作業所「You遊」を開設
2002(平成14)年 会長に谷中輝雄,理事長に土橋敏孝就任
2006(平成18)年 やどかりの里後援会発足
2011(平成23)年 公益社団法人に移行,すべての事業所が障害者自立支援法に基づく事業に移行
2012(平成24)年 「エンジュ」新築移転
2012(平成24)年 第42回毎日社会福祉顕彰を受賞
2013(平成25)年 「やどかりの里援護寮」を改修
2014(平成26)年 サポートステーションやどかりでピアサポート養成研修
2015(平成27)年 サポートステーションやどかりの隣地にやどかりテラス完成
2016(平成28)年 「40代家族同居の人たちの状態調査」と「単身生活調査」の結果にもとづき支援のあり方の検討
2017(平成29)年 グループホームの建設用地を購入
2017(平成29)年 ピアショップでの共同販売 コラボ商品開発、作業分担など事業所連携による販路開拓
2018(平成30)年 グループホーム「あおぞらハウス」建設
2018(平成30)年 まごころが喫茶ルポーズの分場となる