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さぽすて(書道教室)
さぽすて(書道教室)

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2024年度事業計画

宿泊型自立訓練(定員16人),短期入所(定員3人),生活訓練(定員12人),生活介護(定員8人)の多機能事業に取り組み,市内関係機関や精神科病院と連携して,ニーズの掘り起こしと多様なニーズに対応できる体制を整える.また,さいたま市地域生活支援拠点の一つとして,体験できる場や機会の提供ができるよう環境整備し,地域のさまざまな社会資源とのネットワークづくりに力を入れていく.
宿泊型自立訓練については,さいたま市地域移行・地域定着支援連絡会との連携を継続し,法人内で退院支援強化チームをつくり,退院支援の促進をはかる.また,ピアサポーターの養成にも取り組み,退院促進のチームづくりを進める.
生活訓練については,社会生活自立度評価指標の活用を進め,基本的な生活習慣,生活スキルの獲得につなげていく.また,グループ活動を中心にプログラムを行い,ピアサポートの専門性を活かした活動に取り組む.生活介護は,1人1人の年齢や体力,健康課題に応じた個別支援を行いながら,健康づくりや余暇活動のプログラムを実施する.
短期入所は,市内の関係機関と連携しながら,緊急時にも対応できる体制を整える.

2023年度事業報告

宿泊型自立訓練.短期入所,生活介護.自立(生活)訓練の多機能型として取り組み,市内関係機関や精神科病院と連携しながら多様なニーズに対応してきた.また,生活介護,自立(生活)訓練の定員を現状に合わせて2人ずつ減らした.

1)重点的な取り組み

(1) 感染対策と事業継続

COVID-19が5類感染症に位置付けられたが,館内でのマスク着用,手洗い,うがい等の基本的な感染対策の励行を継続した.また,頻度は減らしたが検温や症状の確認,換気や消毒も継続した.
感染対策を開始してからの約4年間,感染
者があっても拡大することは防げていたが,年明け1月末から2月にかけて次々と感染し,抗原検査を頻回に行い,感染を収束させることに力を注いだ.感染していない人たちの日常生活にも影響は大きく,感染者が1人発生すると,全員の通院や通所,訪問看護など日常の支援活動すべてがストップしてしまい,生活リズムの崩れや体力の低下につながった.収束までに1か月を要し,職員の負担増や事業運営の不安定さなど,大きな影響を残した.基礎疾患を抱える人が多く,5類に移行したとはいえ,集団生活の場での感染対策は,これまで同様の対策が継続されることが望ましい.

(2) 多職種によるチームづくり

生活訓練・生活介護の通所事業においては,プログラムの運営や,個別支援,館内メンテナンスなど,ピアサポーターが担っている.2023年度ピアサポーター養成講座を職員とピアサポーターが受講し,専門的な知識を身につけるとともに,多職種でのチームワークのあり方についても学んだ.2024年度の報酬改定で生活訓練事業にピアサポーターの専門性の評価が加わるため,これまでの実績を踏まえてピアサポーターとのチーム支援を進めて行く.
また,新しいプログラムとしてリラクゼーション,コミュニケーションスキルを高めるプログラム,アート技法で自己表現をしていくアトリエ等,専門的なスキルをもつ職員や講師の力をかりて実施した.新しいプログラムに取り組むことで,参加するメンバーの新しい才能の可能性の発見にもつながり,通所が不安定だった人の安定にもつながった.

(3) 当事者支援員事業の受託

さいたま市では,精神科病院からの退院促進にピアサポーター(当事者支援員)活用が事業化されており,その事業を受託してピアサポーターの養成と派遣,研修に取り組んだ.COVID-19の影響が続いており,精神科病院への派遣はまったくできなかった.
毎月研修を開催し,支援状況の共有や関わりの点検,これまで面会や退院支援でつながりのあった人たちのリストアップなどを行った.また,研修に積極的に参加し,専門的知識や障害福祉の動きについて学びを深めた.
退院後の地域定着支援として,夕食会や通院の不安がある人への同行支援など,退院後の生活を支えるサポートに取り組んだ.
さいたま市地域移行・地域定着連絡会にも参加し,入院している人たちの状況や退院支援の状況について共有した.ピアサポーターとのつながりをつくる間もなくグループホームに退院する人が多く,退院後の生活の安定のためにもピアサポーターの活用を進めて欲しいと提案している.

2) 宿泊型自立訓練事業(定員16人)

新規利用者は1人,体験利用が1人.退所者は3人で,内1人が単身生活を開始,2人がグループホームでの生活に移行した.
新規利用者が少なかった原因としては,COVID-19の影響により,精神科病院からの退院への動きがストップしたままであること,市内に多くのグループホームが設置されたことにより,グループホームへの退院につながるケースが増えていることが考えられる.
利用している人の現状としては,長期入院者や病状の不安定さから入退院を繰り返している人,身体疾患を合併しているために医療的な見守りの必要性がある人など多様である.そのため,地域移行へのアセスメントを丁寧に行い,本人を取り巻く多くの関係機関との連携を取りながら支援を進めた.

3) 自立(生活)訓練事業(定員12人)

登録者は9人.内,新規利用者は1人,訓練を終了し退所した人は6人で,就労継続支援B型事業所に2人,地域活動支援センターに1人,精神科デイケアに1人がつながった.日中活動につながらずに,グループホームや自宅中心の生活となって終了となった人は2人だった.
訓練内容は,健康で自律的な生活を目指したプログラム活動を中心に行い,毎月の個別目標を立ててアプローチした.健康については,看護師による健康チェックを行い,運動や食事についての指導,不調時のケア,医療機関受診の助言や同行等,1人1人に応じた対応で健康を支えた.
プログラム活動の特徴としては,コミュニケーションスキルを習得するためのプログラムを通年で行い,下半期には,身だしなみに特化した美容整容プログラムを実施した.入浴,洗顔や整髪などの基本的な保清習慣を身につけることを目的として,1年の成果を報告し合う機会も設けた.

4) 生活介護事業(定員8人)

登録者は14人,新規利用者1人.退所者は4人であった.退所者のうち3人が介護保険事業に移行し,1人が他事業所利用で終了となった.利用者の平均年齢は63.4歳で,体力低下や健康課題をもつ人が多く,健康づくりを目的としたプログラムによるアプローチと,健康チェックや観察による個別課題に沿った支援を行った.
保健師より,歩行力強化の必要性があると指摘があり,ウォーキングだけでなく,足浴や足指を動かすフットケアなどの健康増進に今後取り組んでいく.

5) 短期入所(定員3人)

利用率は44.3%(前年度53.3%).利用目的としては,家族と離れる生活体験,健康状態や生活習慣改善のための利用,家族のレスパイトのためなど多様であった.また,長く単身生活を送っていた人が,健康問題などから,生活の立て直しのために一時的な避難場所として短期入所を活用することが多かった.以前利用した経験が安心にもつながり,利用しやすさにもつながったといえる.また,新規利用の問い合わせが多く,見学や体験利用にも対応した.

6)来年度に向けて

宿泊型自立訓練事業は,精神科病院からの退院促進を進めて行く上で重要な役割を果たしてきた.しかし,グループホームが地域に増え,退院先としての機能を果たしている状況を踏まえ,これからの宿泊型自立訓練の事業の方向性を検討していく必要がある.
サポートステーションの特徴は,その人の暮らし方を見つけていくための体験や仲間とのつながりをつくることで生活を豊かに安定したものにしていくことである.また,ピアサポーターも含めた幅広い専門分野のチームで関われることも強みでもある.
2024年度は,さいたま市の地域生活支援拠点事業に登録し,地域の一資源として必要とされる役割と機能を果たしていくことが求められる.多様なニーズにしっかり対応できるよう,職員のチームづくりと関係機関との連携の強化に取り組んでいく.

宿泊型自立訓練,短期入所,生活介護,自立訓練(生活)の多機能型として取り組み,市内関係機関や精神科病院と連携しながら多様なニーズに対応してきた.