JYOHOKAN
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2024年度事業計画

・事業 就労継続支援A型,B型事業
・定員(現員) 就労継続A型20人(26人),B型事業15人(8人)

①事業について

本年度を「新たな挑戦と改革の年」と位置付け,やどかり情報館が直面する課題を克服し,地域社会に新たな価値をもたらすことを目指す.利用者数の拡大と収支の持続可能な改善を最優先事項とし,全スタッフが一丸となって取り組む.
財政基盤の強化として,地域の利益と市場の動向を調和させる新事業の柱を企画立案する.
つなぐつくるプロジェクトの事務局運営の中心的な役割を担い,地域社会との連携を深め,市民活動の推進を図る.

〇やどかり出版・印刷

<出版予定>

・「響き合う街で」
109~112号を刊行,定期購読者を増やす努力を続ける.バックナンバーを電子書籍化し,BASEとAmazonの商品ラインナップを増やしていく.
・単行本予定
「もう1つの価値」next(増田著)
「夏苅/藤井対談集」と公開対談の企画
身体拘束 当事者視点で(なつみさん漫画を生かす)
ひとり暮らしブックレット
プラクティス2(青木聖久著)改訂版
JD仮訳出版(委託)
WHOガイダンス(委託)
PPST Bulletin(委託)
いのちの地域ケア第4版,生活支援,援助関係論の電子書籍化

<営業・販売>

JD事典の販売をきょうされん中心に働きかけるとともに,販促イベント等をJDと企画する.

<テープ起こし・入力業務>

顧客の信頼を得られる差別化を図り,さらなる受注を獲得していく.

<テキスト化の事業化>

読書バリアフリーの動きの中で,すでに実績のある書籍・冊子等のテキスト化事業の拡大を図る.

<HP事業>

外部協力者を得て従業員のスキルアップを図り,内部HPの更新業務に加え,JD以外の外部委託も受けられる体制を整える.

<システム開発事業>

引き続きJD会員管理システムのメンテナンスとデータ移行を進める。アンケート入力のフォーマット構築などにも対応できるスキルを蓄える.

<印刷事業>

印刷では組版作業を中心に関係団体,自治体,企業等からの受注を積極的に受けていく.組版作業は今年度,新たな担い手を増やせるように技術習得を進める.また従業員の仕事内容,新たな作業の導入など検討を進める.

〇やどかり研究所

・運営委員会を中心に運営を進めるが,運営委員の研究報告・実践報告を運営委員会に組み込んでいく.会員を広げていくためのパンフレット作成等進め,会員拡大を図る.具体的な事業としては
・総会後学習会の企画・運営
・やどかり研究所サロンの企画・運営
・やどかり研究所報告・交流集会の企画・運営
・55周年を視野に入れ,やどかりの里のメンバー・家族への聴き取り調査に取り組む

〇やどかり農園

以下の4点を柱に働く場づくりを進める.
① 無肥料自然栽培の実践,② 無添加乾燥野菜の製造と販売,③ カカオ豆,コーヒー豆,ソーラーランプなどのフェアトレード商品の販売,④ ヤギを飼育し,つなぐつくるプロジェクトと連携して,地域のつながりづくりに役立てていく.
また,農作業体験,収穫イベント,味噌づくり教室の開催など,農の特性を活かした地域交流の機会を積極的に持つ.関係機関へのはたらきかけや多様な媒体を通して情報発信を行い,働く人や活動に関わる人を広げていくことにも取り組む.

〇ピアサポート事業部

ピアサポーターが果たす役割を法人内で共有しつつ,安定的に働くための振り返りや各所との連携を図っていく.
また,埼玉県,さいたま市が実施するピアサポーター養成講座にも協力していく.

〇協働ネットワーク事業

「協働ネットさいたま」の構成メンバーとして,地域のネットワークを活かした協働の仕事づくりを行う.思い出の里植栽管理業務請負,青山苑ゴミ収集業務請負,埼玉スタジアム,リンガーハット,スペース24の駐車場の除草作業請負,催事ポップコーン実演販売,地域交流イベントへの参加,近隣施設との交流会の開催,他業種交流,住民との交流の場に積極的に参加する.

〇やどかり塾

やどかりの里の新人職員の企画・運営.必要に応じて実践記録に基づくスーパービジョンの実施.

②労働を支える

時差出勤,有給休暇の時間単位取得,免許や資格取得の受験奨励,送迎サービスの提供など,多様な働き方と仕事のスキルアップを支援する施策を検討する.

2023年度事業報告

定員35人(A型20人,B型15人),新規利用者(A型0人,B型0人),退所者(A型2人,B型2人),登録者(A型24人,B型8人)

2023年度の主要トピックは,最低賃金の引き上げ,利用者数の増加停滞,印刷機械撤去後の部屋利用に関する未解決の問題,そして長期にわたる「障害と人権の総合事典」の出版である.
まず,最低賃金は過去最高水準に達した.これにより,経費の見直しや生産性向上が迫られ,仕事量の確保と効率化への取り組みが必要とされた.今後も人件費が上昇する傾向にある中で,事業を持続可能にすべく,財務戦略や経営計画を見直す必要が出てきている.
次に,利用者数が減少し,積極的な事業所紹介の不足が課題である.特に,B型利用者のニーズに合わせたサポートを含む,積極的なアプローチが必要である.
印刷機械撤去後の場所利用に関しては,最適な解決策を見つけるための模索が続いている.場所の再利用計画を立てるにあたり,市場トレンドを調査し,最適な活用方法を検討中である.これにより,空きスペースの有効活用や新しいビジネス機会の創出が期待されている.
また,7年の時間を費やし完成した「障害と人権の総合事典」は,やどかり出版が長期間にわたり継続して努力を重ねた成果である.この事典は,やどかりの里の貢献として広く認知され,多くの人に利用されることが期待されている.

1)出版事業(やどかり出版)

特筆すべきことは,JD編「障害と人権の総合事典」の出版である.厚生労働省記者会で本事典の刊行について記者発表し,新聞各紙に取り上げられ,全国から反響があった.また,ヤマト福祉財団から編者である日本障害者協議会へ本事典の配本事業として200万円の助成金が交付された.この助成金によって日本図書館協会を通じて全国の公立図書館500館に贈呈,他に福祉系大学176館,メディア等関係者に57冊を贈呈.増刷分の在庫があり,次年度も引き続き販売促進に努め,本事典出版の目的である「障害者権利条約を社会の隅々に浸透させる」を進めていく.

(1)編集部

① 単行本

<単行本一覧> 「障害と人権の総合事典」23年6月/「かごの鳥」24年1月
<外注・自費出版>「家族支援学を始めよう」23年5月/「PPST Bulletin Vol.5」23年8月/「総括所見のポイント解説(本文部分)」23年12月 (自費出版案内パンフレットを作成し,地域や関連団体などに広く配布.自費出版受注の拡大を目指す)

② 雑誌『響き合う街で』

105号「国連の総括所見(勧告)を学び,知り尽くそう!」/106号「COVID-19の3年を未来につなぐ」/107号「精神病院の特殊性を打破するために」/108号「憲法と障害者」を特集.定期購読者の拡大を目指す.

③ 営業チーム

HP,メルマガ,SNSの工夫による販売促進.Amazon kindleと契約を結び,電子書籍市場に本格参入.コンテンツの充実,新規プラットフォームの開拓,売上増を目指す.

④ 入力受注業務

テープ起こし/アンケート入力を受注.コロナ禍で一時受注が停滞したが,現在は回復.研究者からの依頼が多く受注に波がある.新規顧客獲得のための営業活動が必要.

⑤ 新規事業

下記3事業につきチーム体制で取り組む.
・システム開発関連:出版の販売・顧客管理システムを開発,運用開始.JD会員管理システム開発を受託.
・HP関連:外部協力者を得て,法人HPのセキュリティ対策,コンテンツの充実を目指す.JDホームページ更新に加えて,新規顧客の獲得を目指す.
・読書バリアフリー関連:JD情報誌テキスト化を受託.外部機関と連携しながら,技術の獲得と,本格的な事業化を目指す.

(2)文化事業部

法人への講師依頼の窓口として,各地からの講師派遣へ対応した.COVID‐19の影響でオンラインの講演が多かったが,徐々に対面での講師派遣も増えてきた.例年通り,講師派遣登録者会議を開催し,主に看護系・福祉系大学の実習時の体験発表を行った.中堅職員も実習時の講義を担当.体験交流会を対面で4回開催し,法人内のメンバー・職員が参加した.

2)やどかり印刷

(1)印刷・製本部門

孔版印刷とデジタル印刷で対応できる封筒や名刺類の印刷物と外部印刷業者に発注する冊子類の印刷物などに分けて受注に対応した.内部で印刷可能な仕事は少なく,図書装備のフィルム作業の導入など試行したが数か月で中止.一昨年12月に印刷機撤去以降,印刷オペレーターだったメンバーの仕事づくりが困難な状況がある.就労継続支援A型に沿った事業導入はハードルが高い.

(2)DTP部門

版下は,専用ソフトで作成.オペレーター同士で専門的な技術を教え合い,力量形成に取り組んだ.次年度は組版を中心に担っていた従業員1人が退職予定で,これまでのペースで作業が進められるか課題であり,現在新しいオペレーターの養成に取り組んでいる.

(3)ITソリューション部門

外部,内部のWebサイトの更新などに対応した.プロボノ協力による法人HPのリニューアルについて検討を進めた.

(4)営業部門

既存の顧客を中心に,従業員が配達を担った.外部印刷業者の委託先を増やし,新規受注にも対応した.例年,年度末に納期が集中するため,年間通しての作業量を平準化することが課題である.

3)やどかり研究所

特筆すべきことは「夜明け前のうた」(4月27‐28日,レイボックホール小ホール)上映とプレミアムトークの開催である.延べ400人が視聴し,精神医療の構造的問題を発信する機会になった.
研究所の運営については,運営委員会をハイブリッドで7回開催して進めた.

(1)プロジェクト見沼

「さいたま見沼よみさんぽ」の編集会議が主となっていることから,プロジェクト見沼としての会議体は終了した.「よみさんぽ」は地域情報を発信するコミュニティ紙として,またやどかりの里の活動を伝える媒体となっている.元図書館司書や建築士の方など多様な編集委員が関わっている.

(2)総会後学習会

6月17日(土),芝田英昭さん(立正大学社会福祉学部特任教授,社会保障研究者/水彩画家)を講師に迎え,「生命の尊厳と女性の人権」をテーマにオンライン学習を開催した.

(3)報告交流集会

2024年3月2日(土),ハイブリッド開催.「まちの中の茶の間づくり」をメインテーマに,暮らしの保健室やつなぐつくるプロジェクトの報告があった.研究報告と合わせて『響き合う街で』8月号で報告予定.

(4)調査研究協力

・塩満 卓さん(佛教大学社会福祉学部)
研究テーマ 中高年精神障害者が親元からの自立を実現する相談支援専門員の実践モデルの研究(2023-2025)
・堀田光希さん(日本赤十字看護大学学生)
研究テーマ  精神障害者の地域生活の継続を可能にしたもの
・後藤基行さん(立命館大学大学院先端総合学術研究科 准教授/立命館大学生存学研究所 副所長)「訪問資料調査・ヒアリング調査」

4)やどかり農園

2023年もB型事業の新規利用希望者は無く,登録者が減少した.主な退所理由は高齢化や体調不良で昨年と同様の傾向が見られた.また,空梅雨や猛暑などの異常気象が野菜の生育に大きな影響を及ぼした.特に大豆の発芽不良が顕著で栽培できなかった.

(1)畑作業

① 田圃の管理

夏は収穫と出荷の作業がメインとなり,除草作業に手が回らず雑草が伸びてしまった.以前伐根し埋め戻された箇所は今季も作物の生育が悪く,次年度以降も土づくりに取り組む必要がある.

② 野菜の栽培

38品目48品種の野菜を栽培した.昨年よりも品種を減らし,各品種の作付け量を増やして収穫量増を目指したが,思うように成果に結びつかなかった.収穫できた野菜の一部は乾燥加工した他,引き売りによる販売とエンジュやルポーズやとしょかんのとなりの食材となった.

③ 野菜の販売

(株)環境サミットが主催したイベントに根菜セットを,5月にオープンしたとしょかんのとなりで野菜を販売した.また,試行的に野菜セットの販売をECサイトで行った.

④ 援農ボランティアの受け入れ

2人のボランティア受け入れを行った他,昨年に続きボーイスカウトさいたま10団の方々にさつまいも掘り作業の協力を得た.

(2)農産物加工

① 農産物の加工・販売

べにはるかを中心にさつまいも2品種を干し芋に加工,おかし屋マーブル,マーブルテラス,かぎろひ,福祉の店パレット,つくりえ,としょかんのとなり,コンパスの7店舗に卸販売した.野菜7品種,果実5品種を乾燥野菜として製造・販売した.

(3)販路,仕事の開拓

ヤギの出張レンタルサービスとしてSHO’s CASTLEのNeighbor Hop Rallyに参加.埼玉福祉事業協会フェスティバル,染谷自治会夏祭り,御蔵自治会夏祭り,ライオンズガーデン東大宮秋祭り,東新井団地自治会の文化祭,七里親子フェスティバル,イイナパークかわぐちSDGsイベント,せせらぎチャリティライブ,クッキーバザール,埼玉りそな社内販売,fufuのガーデンマルシェなどにイベント出店した.

(4)その他

1月に(一社)日本農福連携協会主催の農福連携フォーラムin関東,2月に埼玉りそな銀行主催の農と食の展示・商談会2024に参加した.3月にソーシャルファームもぎたてのアルファ―化米粉工場を視察研修した.

5)協働ネットワーク事業

近接の施設と連携し,共同受注や販路の拡大等相互に協働できる事業を進めた.

(1)外部からの受注

市営霊園の植栽管理業務請負,埼玉スタジアム,リンガーハットなどの清掃・除草業務請負,(株)しょうがのむしジンジャービア醸造所の軽作業請負(12月まで)を行った.

(2)コラボ商品の製作,販売

カカオポップコーンを晴れ晴れと共同製作.カフェティコ他5店舗に卸販売した.

(3)交流イベント

さつまいも掘りイベントを2回実施した.
つなぐ・つくるプロジェクト主催の味噌づくり教室では,当日の運営に協力した.

6)ピアサポート事業

法人内の5か所に8人を派遣し,隔月のピアサポート研修会で業務内容の確認や仕事の中での気づきを共有し,相互研鑽に努めた.埼玉県・さいたま市主催のピアサポーター養成講座に参加し,養成講座のテキストを活用した学習を続けた.

7)やどかり塾

やどかりの里に入職し3年目までの職員の研修を行い,全体研修ではメンバー,家族,職員の話を聴いた.11月にはハンセン病資料館の見学,PTSDの日本兵家族会の資料館を訪れ,被害を受けた家族の話を伺い,戦争被害のこと,PTSDの問題について学びを深めた.