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ご挨拶

 やどかり研究所は,1970年にやどかりの里が創設されてまもなく,職員(ソーシャルワーカー)の力量形成のため,1974年に調査研究部門として発足しました.その後,1979年にやどかり研究所と名称を変更し,1980年から会員制の研究所として,地域における精神保健福祉に関する研究活動を中心に行っております.そして,やどかり研究所は2001年4月より新しく生まれ変わり,精神障害者自身の情報発信基地を目指すやどかり情報館(精神障害者福祉工場)の一事業として活動しています.

 やどかり研究所は,3人の共同代表制(精神障害者当事者と実践家,研究者で構成)に大きな特徴があります.地域で生活する精神障害者と,地域を活動基盤とする実践家,そして教育・研究機関の研究者が,ともに学び合いながら,ともに研究活動を行い,ともに新しいものを築いていくことが,やどかり研究所の目指すところです.

 かつては専門家と呼ばれる人が障害者や患者を対象化し,専門家の視点から実践研究がなされてきました.研究所の新たな挑戦の1つとして,医療・保健・福祉サービスを受ける人の視点を中心に,新しい支援のあり方を共に考えていきたいと思います.障害を持ちつつ生きる人自身が,積極的に研究活動に参加していくことで,これまでの研究活動の理念も変わっていくのではないかという可能性を感じています.さまざまな立場の人たちが集まって,話し合いを重ねながら,「協働」の中での本当に生きた研究活動を進めていきたいと考えます.

 また,この障害福祉分野の大転換期に際し研究所の当面の課題として,地域活動の共通のキーワードとなる「地域におけるさまざまな活動を,住民と自治体や,さまざまな組織,個人が,どのように連携して,どのように地域を創り上げていくか」に対し,継続的な共同学習を進め,地域の課題を整理することに取り組んでいきます.その際,数年来続けてきた隣接の研究領域,例えば公衆衛生学,看護学,保健学,社会学,経済学,心理学,文化人類学等々との研究者との協働を,今後もさらに強めていきます.広範な領域の方々との「協働」は,「やどかりの里」の活動や,精神保健福祉の分野を越えて,人間を中心にさまざまな問題に取り組んでいる人たちの活動をより豊かにしていくのではないでしょうか.その理論的な支柱として,やどかり研究所の持つ意味は一層重要となってくるものと期待します.

やどかり研究所の活動の柱

  1. 流動化する社会情勢から学ぶ
  2. 社会全体が流動し,新しい価値観が生まれている今日的状況の中,福祉領域にとどまることなく,グローバルな視点で学びの機会を提供します.

  3. 地域とともに
  4. 地域の一員として,地域にある歴史,文化,自然,慣習から学び,多くの市民の方々との交流を深める場の提供を目指します.

  5. 現場にある知から理論構築へ
  6. 現場にある切実な問題意識とそこにある現場の知識,方法論を立ち上げるために,多様な領域の研究から学び,実践理論を構築して現場の問題解決を目指します.

  7. やどかりの里が築いてきた価値観を普遍化し,やどかりの里の目指す「1人1人は主人公」を実現する社会を作っていくための研究を行います.
  8. また,やどかりの里の実践から見えてきた課題について,必要な調査研究活動を進めます.

  9. その他
  10. 研究所に集う人々の関心に沿った研究チームの組織化を行い,研究活動を展開します.研究チームの組織化や研究課題については,運営委員会で検討します.会員のための研究発表の場,活動報告の場を用意したいと考えています.

2024年度の事業計画

  • 月に1回程度の運営委員会を開催し,そこで活動内容の検討を行います.
  • (研究所会員は参加できます.開催日は事務局にお問い合わせください)

  • 年に数回のやどかりサロンの開催.やどかりサロンはテーマを精神保健福祉に限定せず,講師をお招きし,講演,及び討論を行います.
  • 年に1回やどかり研究所報告・交流集会を行います.
  • 会員交流と実践・研究集会の場となります.

  • 研究チームによる調査・研究活動を行います.
  • 障害年金を受給していない人の生活実態調査,メンバーの生活状態調査,単身生活者の生活実態調査の実施など,また,地域との連携を深め,地域との協働を目指す「プロジェクト見沼」の活動を継続し取り組んでいきます.

  • 継続的な共同学習
  • 今年度も,障害福祉施策や精神保健医療改革の動向を見定めながら,必要な学習の取り組みを進めます.

  • やどかりの里をはじめ他機関への調査研究協力
  • 近年,やどかりの里への調査協力を求める研究者が増えてきています.研究目的,研究手法等々について,運営委員会で報告していただき,研究協力について検討します.また,やどかりの里で調査研究を行った研究者に対して当研究所報告・交流集会で報告をしていただきます.

入会のご案内

会員資格
本研究所のあり方や,さまざまな立場性を乗り越えて行われる研究活動に関心がある方.
さらに,全国の障害者の皆さんの参加を歓迎します.皆様の発言があってこそ地域精神保健福祉の研究がより一層深化し,発展してゆくものと信じています.
そして,若手の研究者,学生の方々,現場の実践者の方々の主体的,積極的な参加を歓迎します.研究・研修・実践の三位一体を基本理念とした活動に是非御参加ください.
会費
年間12,000円(4月から翌年3月まで)分割での納入も可能です.
会員の特典
  • 会員には,さまざまな研究会や学習会のご案内をお届けし,参加費の割引を用意します
  • やどかり出版の発行する「響き合う街で」(年4回発行),やどかりの里が毎月発行する機関紙「やどかり」,年1回発行される所報「やどかり」を送付します
  • やどかり出版の発行する出版物を2割引で購入できます.(直接販売に限ります.出張販売の折には対応できません.)
  • 会員が「響き合う街で」に総説・解説・研究・実践報告等の寄稿をした 場合,優先的に掲載する権利を保有します

※ 会員になるためには,所定の用紙に必要な事項を記入し,お申込ください.

やどかり研究所の態勢(2024年度)

代表

  • 三石麻由美(やどかりの里・見沼区障害者生活支援センターやどかり)
  • 松田正己(東都大学沼津ヒューマンケア学部)

副代表

  • 大澤美紀(やどかりの里・サポートステーションやどかり)
  • 坂本智代枝(大正大学人間学部)

事務局長

  • 増田一世(やどかりの里・やどかり出版)

運営委員

  • 相川章子
  • 木村千夏
  • 鈴木裕貴
  • 永瀬恵美子
  • 宗野政美
  • 萩崎千鶴
  • 東田全央
  • 本多真希
  • 松原玲子
  • 結城俊哉
  • 渡邉奏子
  • 渡邉昌浩

顧  問

  • 丸地信弘
  • 土橋敏孝

お問合わせ先

〒337-0026
埼玉県さいたま市見沼区染谷1177-4 やどかり情報館内

Tel 048-680-1891

Fax 048-680-1894

E-Mail book@yadokarinosato.org