第8回日本健康福祉政策学会学術大会にあたって

世代をつなぎ、人をむすぶまちづくり
−みんなが自分らしく、安心して暮らせるために−


第8回日本健康福祉政策学会学術大会長
渡邊 能行
(京都府立医科大学大学院医学研究科地域保健医療疫学教授)


 京都府京都市におきまして平成16年12月4日(土)・5日(日)に第8回日本健康福祉政策学会学術大会を開催させていただくこととなりました。

 平成15年の3月に事務局を京都府立医科大学医学部内の医学科と看護学科の教員4名で立ち上げ、平成15年の8月には京都の地において保健・医療・福祉の現場で活動をしてきました仲間に呼びかけ準備委員会を9名で発足させました。そして、本年1月には一昨年に第6回日本健康福祉政策学会学術大会を開催されました静岡大学松田正巳教授に講演をいただき、これをベースに月に1回のペースで準備委員会を開催してきました。この間、準備委員がそれぞれの仲間を紹介して平成16年5月には26名からなる準備委員会となり、その総意として、今回会員の皆様にお知らせ致します学術大会の大枠を決めるに至りました。

 京都で本学術大会をお引き受けしましたのも、私どもがそれぞれ行っております現場活動の情報交換をすることにより、まず私ども自身が現場の中でお互いに見つめ直し、どのように政策化にむすびつけていくのかを考える良い機会となると思ったからです。そして、私どもの取り組みを全国の会員の皆様と情報交換することにより相互に良い影響を受けることができると考えています。

 昨年出雲での第7回の学術大会のテーマでありました「世界と地域を結ぶ健康政策」は、異なる世代をつなぎ、人と人をむすぶことによって成し遂げることができるというような思いを加え、「世代をつなぎ、人をむすぶまちづくり−みんなが自分らしく、安心して暮らせるために−」を今回のテーマとさせていただいています。  

 特別講演は、京の町家を調査され、町並みを生かした町づくりにも関わっておられます京都府立大学人間環境学部住環境学講座宗田好史助教授にお願いし、このような取り組みを健康・福祉のまちづくりにどのように生かしていくことができるのかについて一緒に考えてみたいと思います。

 学会前日の12月3日(金)午後には、エクスカーションとしていくつかのコースに分かれて今回のテーマとも関連した施設を見学していただいた後、自由に京の町家を利用した商業施設や新撰組なじみの地を楽しんでいただければと思っております。

 これまでの準備委員会の論議から、今回のテーマを深めるべく、ワークショップとして「まちづくり・健康づくり」と「安全・安心のまちづくり」を取り上げようと思っています。前者は「地域」というコンセプトを含むもので、いずれも仮題ですが、「過疎地域におけるまちづくり・健康づくり」や「都市におけるまちづくり・健康づくり」といった場の違いを意識して土曜日の午前中と日曜日の午前中の時間帯をむすんで論議しようと思っています。後者の「安全・安心のまちづくり」は、最近京都が経験しましたSARSや高病原性鳥インフルエンザ等の感染症による健康危機管理、小児・高齢者の虐待問題、更には公衆衛生分野があまり関与してこなかった事故予防を含めたセーフティ・コミュニティーづくりについて、やはり土曜日の午前中と日曜日の午前中の時間帯をむすんで論議する予定です。

 もちろん、全国の会員の皆様からも提案いただき、上記ワークショップとの整合性を検討させていただいた上で、関連したワークショップか、または独立したワークショップとして実施したいと思っています。

 そして、これらのワークショップのコーディネーターをシンポジストとしたシンポジウムを日曜日午後の最後の時間帯に行い、まとめとさせていただくつもりです。

 全国の会員の皆様と交流することにより更により良い健康政策としていくことができると思っておりますので、多くの皆様の提案とポスター発表並びに京都へのお越しをお待ち致しております。

 お越しやす、京都へ!